2013年01月18日
津波避難施設
昨年8月に内閣府より「南海トラフ巨大地震」の被害想定が発表され、海岸に近い施設ではその対策が急がれています。
掛川市国安の特別養護老人ホーム「くにやす苑」では
施設を利用するお年寄りやスタッフは勿論のこと、近隣住民らが緊急時に使用する「津波避難施設」の工事安全祈願祭が行われました。
くにやす苑「津波避難施設」 ボリュームスタディ
鉄筋コンクリート造二階建ての管理棟屋上を4メートルかさ上げしたデッキ(海抜15メートル)を造り、屋外や別棟からの四基のスロープを設けます。
また、近隣の住民も利用できるよう外付け階段も一基付け、約200人を収容することができます。
大人数の高齢者を迅速に避難させるというのは本当に困難です。
避難タワーはタテ(垂直)避難の為の物ですが、地震が起きるとエレベーターは安全のため停止し、機器の損傷がないことを確認した上でないと再運転できません。
そこで、自力で上がる避難タワーとなるのですが、歩行器や車椅子使用の方はスロープが必要になります。
くにやす苑のスタッフの皆さんは御前崎市にできた津波避難タワー(高さ12メートル、スロープ1/10勾配)で、椅子を使って実際どれくらいの時間を要するのかをストップウォッチで調査しました。
計画する高さ10.5メートルの避難タワーに車椅子で避難させるのに一人5分程度かかります。(スロープの登り3分30秒、階段を下りて37秒)
これは、例えば8人掛りで(夜勤時の職員10人中)6回上り下りし、約30分でやっと48人を避難させることができるということです。
一方、避難訓練によれば、全体を5ブロックに分け、ブロック別に集合場所に移動後、避難車両を使ってヨコ(水平)に避難すれば20分程度で全員の安全が確保されるようです。
とはいえ、ヨコ(水平)避難も地震により避難経路が通行できない場合や取り残されてしまう事態が考えられないわけではありません。
それを補うための最終手段としてタテ(垂直)避難設備で補完する必要があります。
これが「津波避難施設」です。
各避難場所集合場所からひとまず1階の屋上に上がれるように、緩やかなスロープを設けます。
そしてもっと高い津波に備えて屋上を水平移動して管理棟の屋上を目指します。最後は管理棟屋上に避難タワーを設け、海抜15メートルの高さを確保します。
高齢者施設の設計において、防災対策は大切な課題の一つです。
Posted by kokyosekkei at 17:53│Comments(0)
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